●ノミってどんな虫?
ペットに寄生するノミは主に”イヌノミ”と“ネコノミ”です。

◎イヌノミの特徴
・体長:2~4㎜
・体色:褐色
・主な生息場所:寝具やゴミの中
・感染症の媒介:あり
・活発になる時期:7~9月

↓イヌノミ(顕微鏡)


↓イヌノミ


◎ネコノミの特徴
・体長:1.5~3㎜
・体色:赤褐色
・主な生息場所:カーペット、畳、ソファーなど
・感染症の媒介:あり
・活発になる時期:7~8月

※イヌノミが猫に、ネコノミが犬に寄生する事もあります。

<ノミのライフサイクル>
①体長の150~200倍にも及ぶジャンプ力でペットの体表に寄生
②寄生してから10分以内に吸血
③吸血から48時間以内に1日に約30個産卵
④卵がペットからカーペット・畳・ソファ・ベッド等に落下
⑤孵化して幼虫になり、1~2週間で2回脱皮
⑥幼虫から蛹になり、温度や湿度等の条件が揃えば10日程度で羽化
⑦成虫になったノミがジャンプしてペットに寄生
①~⑦を繰り返す

●ノミに寄生された時の症状
・主に背中、脇の下、下腹、内股等に寄生
・湿疹
・発赤
・搔き傷からの二次感染
・脱毛
・ノミの唾液成分によるアレルギー反応
etc…

●ノミが媒介する病気
瓜実条虫症
瓜実条虫と呼ばれる寄生虫がノミを介して犬猫の小腸に寄生して起こる病気です。
100個以上の節が連なり、体長は推定50cm程と言われています。
この節は本体から切り離し出来、節の中に卵を仕込んで便と一緒に排出されます。
節が含まれる便を違う犬猫が食べてしまうと消化管内で卵が孵化し、感染してしまいます。
症状は主に子犬や子猫が発症しやすく、成犬や成猫は無症状の事が多いとされています。
子犬や子猫では激しい下痢を引き起こし、重症化すると体重減少・発育不良の原因ともなります

便の中や表面に米粒サイズの白い物体が見えたらその便は捨てずに病院までご持参ください。
また、肛門から虫体がはみ出しているのを見つけた時は引っ張らずそのまま受診してください。
瓜実条虫は人間が何かの拍子に経口摂取した場合、犬猫と同様に感染してしまう人獣共通感染症です。
人体症例は主に乳幼児に多く、世界各国で報告されています。

猫引っ掻き病(別名:バルトネラ症)
ネコノミが媒介するバルトネラ菌を犬猫自身が毛づくろい等で口腔や爪に保持した状態のまま人間を噛んだり引っ掻く事で傷口から感染します。
他にも菌を保有したノミに吸血される事でも感染します。
この病気は動物に対しては一般的に無症状で、人間が主に発症してしまいます。
症状は傷を負った後に傷口周辺に丘疹・膿・水泡が出来始め、しばらく経つと発熱・リンパ節の腫れ・重症化すると脳炎を併発し、ケイレンや意識障害等の神経症状も引き起こす可能性があります。
特に幼い子供や免疫力が低下している場合に重症化しやすいとされています。
医療機関を受診する際は犬または猫から受けた傷である事を医師にお伝えください。

●ノミが寄生しているかどうかの見分け方
毛を搔き分けて黒ゴマの様な虫が走っているか
・皮膚やペットの寝床やケージ内に黒い砂の様な物が付着しているか
※黒い砂の様な物=ノミの糞
・ノミの糞らしき物を濡らしたティッシュの上に置き、赤く滲めばノミの糞
 滲まなければノミの糞の可能性は低い
(滲まなくても念の為受診してください)

●治療と対策
診察で状態を確認し、駆除剤を塗布または経口投与します。
駆除剤によって異なりますが、早くて数時間で効き始め、24~48時間以内に全てのノミの駆除が完了します。
駆除し終わると体表にいたノミの死骸がポロポロと落下する事に加え、カーペット等に潜む卵や幼虫が成虫になった時に寄生されない様にしばらくの間は家の中を徹底的に清掃してください。
ノミは水に弱い為、水洗い出来る物はよく洗って通気性の良い場所で干す事をオススメします。