●フィラリアってどんな虫?
フィラリアとは、蚊を媒介して犬や猫の心臓に寄生する虫です。
別名を犬猫問わず“犬糸状虫”と呼ばれ、成虫はその名の通り長さ10~30㎝程の白くて糸のような姿をしています。
“そうめんの様な形の虫”と考えていただくとイメージしやすいかと思います。

フィラリアに寄生されている子の心臓にはそんなフィラリアの成虫が1匹~多数が存在しています。
その中でオスとメスがいれば繁殖して“ミクロフィラリア”という幼虫を大量に産みます。
心臓内の成虫のオスメスのペアが多い程、ミクロフィラリアは爆発的に増加します。
ミクロフィラリアは動物の体内の血管を自由に泳ぎ回り、血管や臓器に悪影響を及ぼします。
こうして体中の血液にミクロフィラリアがいる子の血液を蚊が吸血し、その蚊が別の犬猫の血を吸う時に蚊の口からミクロフィラリアが体内に侵入します。
フィラリア予防がきちんと出来ていれば、体内に侵入した時に血中に馴染んでいるフィラリアに対する薬の効果でミクロフィラリアは死滅します。
予防が出来ていなければミクロフィラリアは心臓に向かって血中を成長しながら進みます。
そして半年程で成虫になり、交尾をして繁殖してミクロフィラリアが増え、その血を吸った蚊がまた違う子へ媒介します。

↓フィラリアのライフサイクル


フィラリアは必ず蚊を媒介して感染します。
ウイルスや細菌などとは違い動物同士や空気を介して感染する事はありません。
(ミクロフィラリアを持っている蚊に私たち人間が刺されても血液の環境が犬や猫と違う為、生存できず死滅し、白血球が分解しています。)
そして全ての蚊がミクロフィラリアを持っているわけではないので、蚊に刺されたからと言って必ず感染する事ではありません。
しかし、どの蚊がミクロフィラリアを持っているのか分からない為、いつどんな蚊に刺されても対処出来るように予防をお願いします。

●主な症状
咳が出る
・元気食欲の低下
・血尿
・腹水
・呼吸困難
など
成虫は心臓に・ミクロフィラリアは血液に寄生するので循環器や呼吸器に関わる症状が出ます。
上記の症状が進行すると肺障害や心不全・三尖弁機能障害に発展し、治療せずに経過を見ていると死に至る事もある危険な疾患です。

●気を付けるべき時期
地域によって異なりますが、基本的に蚊が出てくるシーズンは要注意です。
例えば
・北海道などの暑くなりにくい地域 ➡ 7~9月頃
・本州、四国、九州 ➡ 4~11月頃
・沖縄などの暑くなりやすい地域 ➡ 1~12月頃

お住いの地域の危険な時期は最寄りの動物病院へお問い合わせください。

●気を付けるべき動物の特徴
・予防していない子
・屋外で暮らしている子
・妊娠中の子
・保護っ子


●検査
・フィラリア抗原検査(ソロステップ)
数滴の血液と専用の検査キットを使用し、フィラリアの抗原の有無を調べます。

・顕微鏡検査(集虫法)
血液を1滴スライドガラスに滴下し、顕微鏡を使用してミクロフィラリアが泳いでいないかを調べます。

どちらも少ない血液量で検査可能ですが、当院では年に1回健康診断として 血球数や内臓の数値などを調べる事をオススメしています。
その時に併せて検査出来るのでお気軽にご相談ください。

※フィラリアに感染中に予防薬を投与すると…
フィラリアに感染し、血液中に大量のミクロフィラリアがいる事に気が付かずに予防薬を投与してしまうと、一気にミクロフィラリアが死滅して血管や各臓器に負担が掛かってショック状態に陥る可能性があります。
死滅したミクロフィラリアが血管に詰まると血栓のような状態になり、壊死や死に至る事もあります。
休薬期間明け・成犬成猫になってから生まれて初めて予防薬を投与・投薬すべき期間中に投薬し忘れた月があるなどの場合は必ず予防を開始する前に検査を行って“陰性”が確認されてから投薬を開始してください。


●治療
・外科手術
麻酔をかけ、首の血管に心臓まで届く細長いカテーテルを挿入してフィラリアの成虫を慎重に摘出します。
専用の器具や特殊な装置を必要とする為、設備の整った動物病院に行く必要があります。
当院ではこの手術を行っておりません ので、手術が必要と判断しましたら手術可能な動物病院をご紹介いたします。

・内科療法
フィラリアが原因で心不全を引き起こした場合は、心臓への負担を軽減する為に利尿剤・血管拡張剤・降圧剤・ステロイド剤などの薬剤で治療を行います。
また、フィラリアの虫体が細菌で汚染されている場合もある為、有効な抗生物質を投与する事もあります。

・成虫用駆虫薬
フィラリアの成虫は予防薬では駆除出来ない為、成虫用の駆除剤を使用します。
フィラリアの数が多い状態で一気に駆除すると血管や心臓に死んだ虫体が詰まってしまい、循環不全になって肺にも負担が掛かってしまう可能性があるので慎重に進めなければなりません。

・大量のミクロフィラリアの駆除
フィラリアの成虫が生み、体中の血管に寄生している大量のミクロフィラリアを薬剤で駆除していきます。
大量のミクロフィラリアが駆除されるとショック状態に陥る事がある為、抗ヒスタミン剤やステロイド剤・点滴などを行い、万が一のショック状態にすぐに対応出来るように備えながら治療を行います。

●フィラリア予防薬の投薬期間(神戸市の場合)
5月~12月の8ヶ月間 毎月1回
フィラリア予防薬は投薬日から1ヶ月前までに感染しているミクロフィラリアを駆除します。
その為、蚊が出現し始める4月の1ヶ月後の5月から蚊が終息する11月の1ヶ月後の12月までとされています。