【特徴】
狂犬病とは世界中で年間数万人が死亡する 人獣共通感染症 です。
発症すると100%死に至り 、 ほぼ全ての哺乳類 から感染する可能性のある大変危険な感染症です。
【感染経路】
狂犬病ウイルスは、 感染動物の唾液 に含まれています。
・感染動物に 噛まれる
・感染動物に 傷口、目や口などの粘膜を舐められる
・感染動物が自身の足を舐め、その 唾液成分が付いた爪で引っかかれて傷になる
上記のように、どのような状況であれ狂犬病ウイルスが混じった唾液が体内に侵入する事で神経系の細胞に感染し、発症に至ります。
【症状】
〔犬の場合〕
潜伏期間は2週間~2ヶ月程
<前駆期(初期)>
・性格の変化
・元気が無く不安そうにしている
・興奮しやすくなる
<狂躁期(中期)>
・狂犬病特有の興奮性と凶暴性があらわれる
・光や音などの刺激に過敏に反応する
・少しの刺激でも攻撃してくる
<麻痺期(末期)>
・元気喪失
・全身の麻痺による運動失調や嚥下困難
・ヨダレが止まらない(流涎)
・昏睡状態
・呼吸麻痺
・死亡
※犬の場合、麻痺期になる事は稀
〔人間の場合〕
潜伏期間は1~3ヶ月程
<前駆期(初期)>
・発熱
・食欲不振
・咬傷部位の痛み、痒み
<急性神経症状期(中期)>
・不安感
・恐水、恐風症状(過敏になる事で水や風が怖く感じる)
・興奮
・麻痺
・幻覚
・精神錯乱などの神経症状
<昏睡期(末期)>
・昏睡
・呼吸障害
・死亡
【治療】
全ての哺乳類において、発症後の治療法はありません。
※狂犬病に感染しているのか分からない犬に噛まれた場合、その後1ヶ月に数回ワクチンを接種する事で発症を防ぐ事が出来ます。
詳しくは人間の内科医院へ。
【現在の日本とワクチンについて】
日本は世界でも数の少ない 狂犬病清浄国 です。
しかし、狂犬病がある国からの渡航者や動物に狂犬病ウイルスが感染していると日本国内で発症した場合には瞬く間に感染が広がってしまいます。
狂犬病が無い日本で狂犬病ワクチンの接種が法律で義務付けられているのは、 万が一国内にウイルスが持ち込まれても予防する事で感染のリスクを減らして蔓延させないようにする為 です。
もちろん、 感染・発症して苦しい思いをする動物を少しでも減らす事 も大事な目的です。
狂犬病ワクチンは“不活化ワクチン”という種類に分類されます。
ワクチン内のウイルスを完全に死滅させて感染能力を失わせ、免疫をつけるために必要な成分を抽出して作られた 物です。
副作用であるアレルギー反応も混合ワクチンに比べると発症率は大変低くなっていますがゼロではありません。
狂犬病ワクチンの副反応で狂犬病になるという事はなく、アレルギー反応の症状が出ます。(アレルギー症状については“予防”のトップページへ)
老衰や病気により免疫力が低下しており、アレルギー反応が出やすくなっている犬に対しては 獣医師の診察や判断により 接種猶予申請も可能です。
健康で元気であれば年に一度の予防接種をお願い致します。